春先、『チュンチュン』とどこから聞こえくることがあります。そして長く鳴いている…。それはきっとスズメの幼鳥です。スズメは春先、4月末~5月初旬にその年最初に生まれた雛が巣立ちを迎えます。

日頃から餌やりを続けているあなたの回りにも幼鳥がきっと現れることになるのですが、その幼鳥についてどのように生きているのか毎日観察した結果を書き残しておこうと思います。


スズメの幼鳥を見た場合、巣立ってからどのくらい日が経つのか気になるところですが、その判断ができる基準がいくつかあることがわかりました。ちなみに鳴き声は親とほぼ同じであり、飛び方についても特徴は分からなかったため、鳴き声と飛び方では巣立ち後の日数を把握することはほぼ不可能と考えられます。

その上で特に『行動』からの判断基準は以下のとおりです

…巣立ち後1日目~7日目
親から口移しでもらっている。自分で探したり食べようとしない

…巣立ち後8日目~15日目
親から口移しでもらうこともある。探したり自分で食べ始めたりする

…巣立ち後16日目~
親からもらわず、自分で餌を食べる

…以降
親の後をついて回らず、ひとりでいることも多くなる
親との距離も離れていく


基本的に幼鳥が自分で餌を食べれるようになるのは巣立ちから10日以降と考えられます。また、幼鳥は独り立ちまでずっと親の後をついて回るというわけではありません。場合によっては自分で食べ始める頃には既に一人でいる個体も確認できています。人間からすると子供を見放したようにも感じるのですが、親が定期的にやってきて餌を運ぶなどの行動をしています。どのようなわけか親は自分の子がどこにいるのか正確に判断できているようです。
これは私が観察した範囲のものであり『目安』として見てください。

見た目で判断する

行動ではなく見た目の判断基準は尾羽の長さと羽毛の色です。巣立って間もない幼鳥は特に尾羽が非常に短いです。尾羽が短いが明らかに短ければ巣立ってから間もないと考えられます。また体の色が成鳥よりも薄く、ほっぺたの黒い斑点も灰色をしています。

そして幼鳥のクチバシ
です。巣立ち後はクチバシの色が黄色く、一部に灰色が入っている程度です。それが日にちがたつにつれ灰色から黒く変化し面積も増えていきます。これは双眼鏡やカメラなどで確認する必要があり肉眼で遠くから色で判断するのはかなり難しいです。ただ、クチバシの色は個体差があり補助的なものにしかなりません。

さらに足の指を見てください。巣立ったばかりの幼鳥は薄いピンク色をしており、成長と共に汚れがつくのか灰色ぽくなります。

画像つきで紹介すると以下のようになります。初めて幼鳥を連れてきた1日目の様子。クチバシは全体的に黄色で薄い灰色が入っている。クチバシが短く、尾羽も短い。指はピンク色。
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4日後、クチバシも長くなっている。灰色も濃くなっている。黒くはない。指はピンク色が強い。
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10日後、クチバシの色がより黒くなる。指は不明。
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最後に幼鳥を確認できた20日目。クチバシは黒く一部に黄色がみられる程度。クチバシの根本もがわずかに黄色い程度。指は成鳥とほぼ同じ色をしている。
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そしてもう一つの判断基準はクチバシにできるカサブタのようなデキモノができるようです。これは病気ではないと考えられ後日、自然に取れて無くなっているのを確認できています。

確認したできた範囲で、最も強くカサブタのようなものが確認できたのは17日目です。ちなみに15日目ではカサブタのようなものは確認できていません。最後にこの個体を確認できた21日目にはカサブタが消えていました。

17日目の写真
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このようなカサブタができ始めることもあるようです。巣立ち後16~20日目前後と考えられます。ただ、カサブタのようなものがどのような理由でつくのかは不明であり個体差と考えられます。(18~20日目の3日間は天気が悪く撮影できず未確認です)


以上がスズメの幼鳥と巣立ってからの日数を知る上での目安です。クチバシの色や行動など総合的に判断して大体何日目くらいなのか判断するのにお役立てください。

ちなみに、子スズメのいくちばしの黄色がいつ無くなるのかは不明です。毎年4~6月に産まれた子はその年11月の時点ではくちばしの根本付近がわずかに薄い黄色をしており、これがその年に産まれた証になります。まるで小学一年生の黄色い帽子のようですね。